石垣の分類
   石垣の分類で、最も一般的に使われるのが、野面積・打込みハギ・切込みハギという分類がある。
   野面積みが一番古い時代の積み方で、打込みハギ、切込みハギの順に新しい積み方となる。
   石垣で用いる「ハギ」は、「接ぎ合わせる」つまり石材と石材をつぎ合わせるという意味である。
1.石垣の技法による分類
分類 模型の写真 説     明
野面積み 自然石またはほとんど加工していない石を積み上げた石垣のことをいう。石質や形状も不揃いで、目地に隙間が多く、荒い感じがする。
見た目には崩れやすそう煮見えるが、表面に出ていない部分が土の中に深く入り込んでおり、石と石とが重力によって移動したり転落したりする余地のないように組み合わせてあるので、崩壊する恐れがない。
また、隙間が多く雨水を石垣に溜めることなく外に出す効果がる。外見は粗野であるが、強堅な石垣である。その外観から庭園の石組にも通じる自然な趣がある石垣である。

石垣の中には、顎石垣・顎石積みと呼ばれる基礎の石垣の下部を出張らせ、安定基部をつくる手法が見られる。

野面積みに習熟し、石に合わせた積み方ができる集団が穴太衆であった。

金山城(群馬県)の顎石垣
打込みハギ 打込みとは強く叩き込むという意味である。
つまり、強く叩き込んで、つなぎ合わせるという意味になる。積み石を打ち込んで繋ぎ合わせたように見える積み方である。
石を槌で叩いて形を整えて、石垣の外側部分だけを平らに加工する。さらに槌で石の角を叩き、合端といわれるその合わせ部分をつき合わせやすくして積み上げた石垣である。
石と石との接触が密でなく、その間に少なからず隙間ができる。この隙間を小さな石で埋めたものである。
野面積みより整った積み方になる。
金沢城南面の高石垣
切込みハギ 切込ハギは隙間なく積まれているだけでなく、石の表面もノミで削って平らにしてある。これは、石垣本来の機能には関係のない装飾である。切込ハギは権威の象徴としての石垣なのである。

切込ハギの石垣には、整層積、布積、亀甲積等がある。これは積みあがった景観からつけられた呼び名である。
金沢城石川門一之門枡形内正面石垣


2.構築方法による分類
   石垣は、構築方法により、整層積みと乱層積みに分けられる。
     ・整層積み : 石をほぼ規則的に積み重ねる積み方
     ・乱層積み : 様々な形の石を不規則に積み重ねる積み方


3.外観的な様式による分類
分類 説     明
算木積 石垣の角の部分の積み方で、長方形に加工した切り石の長い面と短い面を交互に組む積み方をいう。
石垣は角の部分がもっとも重要で、破城をするときには石垣の角を崩すことからもわかるように、角が崩れてしまうと石垣の用をなさなくなる。石垣を最も丈夫に組む積み方である。
名古屋城本丸石垣、角(コーナー)部分が算木積み
牛蒡積 野面積みの一種で、自然石を差し込むように積む方法で、表面には小さな面しか現れない。
牛蒡の束を積み重ねたように、胴長の石を積む積み方である。非常にしっかりした積み方になる。
会津若松城天守台の牛蒡積み
布積 細長い石を二つの下方の石に均等に重力がかかるように積む方法。整然とした美しさがある積み方である。
江戸城天守台の布積み
落し積 石の面だけ形を整えて目的が対角線状になる積み方をいう。石垣自体の重みによって引き締まる方法である。落し掛け、谷積み矢筈積みともいう。
彦根城天秤櫓左側の落し積み(右側は牛蒡積み)
亀甲積 六角形に加工した石を積んだものをいう。石の重みの圧力が配分化されて、崩れにくい石垣となる。
金沢城土橋門石垣の亀甲積み
跳出し・拮出 石垣の最上部の石を石垣面から外へ張り出して積む積み方。石垣を敵が登ってきても上に到達できないように工夫したもの。
品川台場の跳出し










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